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【退去時のタバコ臭】原状回復費はどこまで請求できる?オーナー向けに解説!

「退去後に部屋を開けた瞬間、タバコのにおいが部屋中に染みついていて…どこまで請求していいんだろう…」
「クロス張替の見積もりは出たけど、入居者が金額を素直に受け入れてくれるか不安で…」
賃貸経営をされているオーナー様の中には、退去後のタバコ臭の費用負担で頭を抱えている方も少なくありません。
厚労省「国民健康・栄養調査」では成人喫煙率は2019年時点で16.7%まで低下していますが、2020年の改正健康増進法以降、タバコ臭が残った部屋は次の入居者から敬遠されやすくなっています。
本記事では退去時のタバコ臭について次のポイントを整理します。
・タバコ臭を借主負担として請求できる判断基準
・修繕方法ごとの費用相場と請求の進め方
・退去後のトラブルを未然に防ぐ予防策
退去後のタバコ臭の対応にお悩みのオーナー様や、トラブルを予防したい方は、ぜひ最後までお読みください。
退去後のタバコ臭がトラブルに発展しやすい背景
タバコ臭の費用負担は敷金返還の相談でも件数が多く、国民生活センターへの原状回復関連の相談は年間1万件超、「クロスの黄ばみ/におい」は繰り返し争点になっています。
タバコ臭は見た目の汚れと違って数値化しづらく、感じ方の個人差も出やすい点が背景です。
2020年の健康増進法改正以降は非喫煙者が喫煙跡を敬遠する傾向が強まり、原状回復が中途半端だと空室期間が伸びるケースも増えています。
感覚論では交渉が長引くため、ガイドラインと判例で数字ベースに詰めるのが最短ルートです。
タバコ臭を借主負担にできる判断基準
タバコ臭の費用は、国の指針と判例を基準に判断します。
国交省ガイドラインと裁判例を組み合わせれば請求の通る範囲が線引きできるため、押さえたい3つの軸を整理します。
1.国交省「原状回復ガイドライン」の整理
2.過去判例から見る借主負担の範囲
3.「経年劣化」と「故意/過失」の境目
①国交省「原状回復ガイドライン」の整理
まず確認したいのが、国交省ガイドラインの位置づけです。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、喫煙によるクロスの変色やにおいは通常損耗を超える借主の善管注意義務違反と整理され、清掃や張替費用を借主へ請求できる旨が明記されています。
法的拘束力はありませんが、賃貸借契約の解釈基準として裁判でも参照される実務上のスタンダードです。
②過去判例から見る借主負担の範囲
ガイドラインと並んで参考にしたいのが、過去判例の積み重ねです。
東京地判平成21年1月16日では長期喫煙でクロス全面張替が必要になった事案で費用を借主負担と認定しており、室内全体のクロス張替や消臭費用まで借主負担と認める判断が蓄積されてきました。
施工が一部分にとどまるケースでは認められる費用も限定されるため、見積書と現場写真を残しておくと認定範囲が広がります。
③「経年劣化」と「故意/過失」の境目
見落とされやすいのが、経年劣化と故意/過失の境目です。
クロスや床材には耐用年数6年の減価償却があり経年劣化分は貸主負担ですが、喫煙によるヤニ汚れや臭気は使用方法に起因する損耗として耐用年数とは別枠で借主負担になります。
入居から6年超の部屋でもクロスの残存価値は1円とみなしたうえで、撤去や張替の工事費自体は借主に請求できる扱いがガイドラインに示されています。
タバコ臭の主な修繕方法と費用相場
タバコ臭の除去は汚れの度合いと残存期間で工事範囲が変わり、ワンルームでも数万円〜30万円超まで幅が出ます。
現場でよく選ばれる3つの方法と費用感を見ます。
1.壁紙/天井クロスの全面張替
2.消臭/オゾン処理
3.エアコン/床材のクリーニング
①壁紙/天井クロスの全面張替
確実に効果が出やすいのが、壁紙と天井クロスの全面張替です。
長期喫煙の部屋はヤニと臭気が壁紙に染み込んでおり、部屋単位での全面張替が確実な打ち手で、費用目安は6畳ワンルーム12〜18万円、1LDK20〜30万円です。
ヤニはクロス裏側まで浸透し拭き取りだけでは数日で臭いが戻るため、天井も同時張替が安全です。
②消臭/オゾン処理
クロス張替とあわせて検討したいのが、消臭/オゾン処理です。
クロス張替の前後にオゾン脱臭や薬剤処理を入れると建材奥の臭気成分まで分解されやすく、費用相場はワンルーム2〜4万円、1LDK4〜6万円、施工は数時間〜1日で完了します。
見積書に処理範囲と単価を明記してもらえば、費用負担の説明資料として活用できます。
③エアコン/床材のクリーニング
見落とされやすいのが、エアコンと床材まわりのクリーニングです。
エアコンの熱交換器はヤニが付着しやすく放置すると臭気の再放出源になるため、壁掛け1台の分解クリーニングで1.5〜2.5万円、フローリングのワックス剥離と再施工で1畳3,000〜5,000円が目安です。
畳の部屋では表替えだけだと芯材の臭気が抜けず、新調が必要なケースもあります。
原状回復費を入居者に請求する手順
請求は感情ではなく証拠と書面で組み立てるのが原則で、退去立会いの写真/施工業者の見積書/書面のやり取りが揃えば、調停や訴訟でも主張が通りやすくなります。
退去当日から請求確定までの流れをご紹介します。
1.退去立会いで写真/書面の証拠を残す
2.見積書を根拠に金額を提示する
3.交渉が決裂した場合の法的手段
①退去立会いで写真/書面の証拠を残す
出発点となるのが、退去立会いでの証拠保全です。
クロスの黄ばみや黒ずみは部屋ごとに日付入りで写真撮影し、データを保存します。
入居者へは「お部屋のにおいと壁の変色を確認させていただいたので、お写真とチェックシートにサインをお願いします」と切り出せば、もめずに記録を残せて交渉の根拠になります。
②見積書を根拠に金額を提示する
証拠が揃ったら次は、見積書を根拠にした金額提示です。
施工業者から正式な見積書を取り付けて入居者へ書面で示し、修繕箇所/単価/数量/耐用年数の考え方を明記します。
相見積もりを2社以上取っておけば、「金額が高すぎるのでは」と返答が来ても客観的な相場感で説明できます。
③交渉が決裂した場合の法的手段
書面で折り合いがつかない場合に進むのが、内容証明郵便と法的手段への移行です。
通常書面で進展がないときは内容証明郵便に切り替えて最終対応期限を提示し、それでも支払いがなければ60万円以下は少額訴訟、超えるなら通常訴訟や民事調停を検討します。
請求額が10万円前後にとどまる場合は、敷金からの相殺で着地させるオーナー様も多く見られます。
退去後のタバコ臭トラブルを未然に防ぐ予防策
退去後にもめないためには、契約段階と入居中の運用で布石を打つのが効果的で、特約と入居時記録の先回りで交渉コストが抑えられます。
すぐ取り入れられる予防策を3つ紹介します。
・契約書に喫煙ルールを明記する
・入居時の現状記録を徹底する
・定期点検で早期発見につなげる
契約書に喫煙ルールを明記する
出発点となるのが、契約書への喫煙ルールの明記です。
特約条項に「室内での喫煙を禁止する」または「喫煙によるクロス汚損は借主負担で原状回復する」と盛り込み、入居者が理解して合意したと客観的に示せる形で取り交わします。
重要事項説明でも口頭で触れて確認の記録を残し、ベランダや共用部の扱いまで書き込めば解釈ぶれが抑えられます。
入居時の現状記録を徹底する
特約と並んで効果が大きいのが、入居時の現状記録です。
入居開始日に室内のクロスや床、エアコン周辺の状態を写真と書面で記録し、入居者にも同じ控えを渡しておけば、「入居時はこの状態でした」と双方で確認できる証拠になります。
においの強さや汚れの位置までメモに残せば、退去時に「もともとあったもの」と争点になりにくくなります。
定期点検で早期発見につなげる
見落とされがちなのが、定期点検を活かした早期発見です。
消防設備の点検や契約更新時の挨拶で室内のにおいやクロスの状態を確認しておけば、喫煙の兆候を早期に把握でき、更新時のヒアリングや注意喚起にスムーズにつなげられます。
点検結果を時系列でファイル化しておけば、退去時に「いつ頃から状態が悪化したか」を客観的に示す資料としても役立ちます。
退去時のタバコ臭でお悩みの方は久和不動産へ
退去時のタバコ臭の費用負担は、現場で残せた証拠の量で請求の通り方が変わります。
要点を以下にまとめます。
- 喫煙によるクロス変色や臭気は通常損耗を超える借主負担と整理されている
- 修繕費用はクロス張替で12〜18万円、消臭処理で2〜4万円が目安
- 契約書の特約と入居時の記録、定期点検が退去後のトラブルを抑える3本柱
久和不動産では、契約書特約の見直しから退去立会い同行、見積書の取りまとめ、入居者との交渉サポートまで一貫対応します。
「請求した金額に応じてもらえず話が進まない…」
「次の入居募集に向けて喫煙に関する特約を整え直したい」
という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

