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【ペットの無断飼育が発覚したら?】大家が取るべき対応と事前にできる予防策を解説

ペット禁止の物件なのに、入居者がこっそり猫を飼ってるみたい…

退去後に部屋を見たら、動物の臭いや傷がすごくて、修繕費が心配…

賃貸経営をされているオーナー様の中には、こうした声に思い当たる方もいらっしゃるかもしれません。

ペットの無断飼育は、賃貸物件で起こりやすい契約違反のひとつです。

一般社団法人ペットフード協会の調査によれば、犬・猫の飼育世帯は全国で約1,800万世帯にのぼります。

ペット人気が高まる一方で、禁止物件にもかかわらず飼い始めてしまうケースは後を絶ちません。

本記事では、次の3点を軸に、ペットの無断飼育について整理していきます。

  • 無断飼育が発覚する主なきっかけとリスク
  • 発覚時の具体的な対応手順
  • 未然に防ぐための予防策

すでにお困りの方はもちろん、予防的に手を打っておきたい方にも役立つ内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

目次

ペットの無断飼育とは?

ペットの無断飼育は、賃貸借契約でペットの飼育が禁止されているにもかかわらず、入居者がオーナー様や管理会社の許可を得ずに動物を飼っている状態を指します。

対象となるのは犬や猫だけではありません。

ハムスターやうさぎ、爬虫類といった小動物が問題になる例もあります。

ペット禁止物件では、契約書や重要事項説明書に「ペットの飼育を禁止する」旨が明記されているのが一般的です。

明確に禁止されている以上、無断飼育は契約違反にあたり、是正を求める正当な根拠となります。

ポイントは、室内での飼育は外から把握しづらいという点です。

発覚が遅れるほど被害は広がりやすく、気づいたときには壁紙や床材が大きく傷んでいた、というケースも珍しくありません。

無断飼育が発覚するよくあるケース

無断飼育が表に出てくる主なきっかけは、次の3つです。

1.鳴き声/臭いによる近隣からの通報
2.定期点検時の発見
3.退去後の原状回復で判明

①鳴き声/臭いによる近隣からの通報

最も多いきっかけは、隣室や上下階の住人からの通報です。

「夜中に犬の鳴き声がする」「ペット特有の臭いが廊下に漂っている」といった声が管理会社やオーナー様に寄せられ、そこから調査が始まる流れが典型的です。

特に猫は、トイレの臭いが換気口を伝って他の部屋に広がりやすく、飼い主本人が無自覚でも周囲には伝わっている、ということが少なくありません。

近隣からの訴えは、無断飼育を見つけ出す最も確度の高い情報源といえます。

②定期点検時の発見

次に多いのが、定期点検の機会に飼育の痕跡が見つかるパターンです。

消防設備点検や給排水設備の点検など、室内に立ち入る場面では、ケージや食器、トイレ用品といった飼育用品が目に入ります。

こうした物が置かれていれば、飼育の事実はほぼ確定です。

なかには点検のタイミングに合わせてペットを一時的に預け、痕跡を消しておくケースもあります。

現物が見当たらなくても、壁や床の引っかき傷、家具に付着した毛など、間接的なサインを見逃さない姿勢が求められます。

③退去後の原状回復

入居中はまったく気づかれず、退去後の室内確認で初めて飼育が明らかになる例も少なくありません。

壁紙の爪とぎ跡、フローリングの深い傷、畳のほつれ、染みついた臭い。

こうした痕跡から、動物がいたことが浮かび上がってきます。

ただし、この段階で発覚すると入居者はすでに退去済みで、連絡が取りづらくなるリスクが伴います。

原状回復費用の請求が難航することもあるため、退去立会い時には写真や書面できめ細かく記録を残しておきたいところです。

無断飼育を放置した場合のリスク

発覚しても「様子を見よう」と判断してしまうと、問題はかえって複雑になります。

放置によって生じる主なリスクを3つに絞って見ていきます。

1.「黙示の承認」による対処困難
2.汚損/臭いの進行と修繕費の増大
3.他の入居者への影響

①「黙示の承認」による対処困難

法的な観点で最も注意したいのが、「黙示の承認」が成立してしまうリスクです。

黙示の承認とは、契約違反を知りながら何の対応も取らず放置することで、結果としてその行為を認めたとみなされてしまう状態を指します。

無断飼育を把握しているにもかかわらず行動を起こさなければ、後になって契約違反を主張しても「オーナー側は事実上容認していたのではないか」と反論される余地を残してしまいます。

情報が入った時点で速やかに動くことが、交渉でも訴訟でも主導権を握る鍵になります。

初動が遅れるほど、取りうる法的手段は狭まっていくと考えておくべきでしょう。

②汚損/臭いの進行と修繕費の増大

時間の経過とともに深刻化するのが、室内の汚損と臭いの問題です。

猫の爪とぎによる壁紙や柱の損傷、犬の排泄物が染み込んだフローリングのシミや下地の腐食、毛やフケの蓄積から生じるハウスダスト。

ペット被害の種類は想像以上に多岐にわたります。

特に注意したいのが臭いで、一度染みついてしまうと壁紙の張替えだけでは取り切れないことがあります。

下地のボードまで交換となれば、修繕費は数十万円規模にふくらむこともあり、放置期間が長いほど原状回復のコストは雪だるま式に増えていきます。

③他の入居者への影響

見落とされがちなのが、同じ建物に暮らす他の入居者への影響です。

ペットの鳴き声や臭い、アレルギー物質の飛散は、周囲の住人にとって日々のストレスになります。

「ペット禁止だからこの物件を選んだのに」という不満が広がれば、物件そのものへの信頼が揺らぎ、既存入居者の退去につながりかねません。

1部屋の無断飼育が、物件全体の入居率や評判に波及するということを頭に置いておくことが、早期対応の動機づけになります。

無断飼育が発覚したときの具体的な対応

無断飼育を確認したら、感情的に動くのではなく、契約と事実に基づいて段階的に進めることが肝心です。

ここでは対応の流れを3つのステップで押さえておきます。

1.契約書/禁止特約の確認
2.事実確認と飼育停止の書面通知
3.契約解除/退去請求の判断

①契約書/禁止特約の確認

最初に手を付けたいのが、契約書の読み直しです。

ペット飼育に関する禁止条項がどう書かれているかによって、取れる選択肢は大きく変わります。

「ペットの飼育を一切禁止する」と全面的に規定されているのか、「犬猫は不可だが小動物は応相談」といった限定付きなのか。

ここを正確に把握しておく必要があります。

あわせて、違反時の措置(違約金、契約解除など)がどこまで規定されているかも確認しておきましょう。

契約上の根拠をはっきりさせてから動くことが、その後の交渉をスムーズに運ぶ出発点になります。

②事実確認と飼育停止の書面通知

契約を確認したら、次は事実関係の裏付けです。

近隣からの通報や点検時の目撃だけでは、状況を断定しきれない場合があります。

まずは管理会社を通じて入居者本人に状況を確認し、飼育の有無と経緯を把握することから始めます。

飼育の事実が確認できたら、口頭の注意だけで済ませず、書面で正式に飼育停止を求めましょう。

通知書には、契約書の該当条項、確認された事実、飼育停止を求める旨、そして対応期限を盛り込みます。

内容証明郵便で送付しておけば、通知した日付と内容が公的に記録として残り、後に法的手続きへ進んだ際の証拠としても有効です。

③契約解除/退去請求の判断

書面通知を送っても改善が見られない場合には、契約解除や退去請求の検討に進みます。

ただし、賃貸借契約の解除が認められるためには、判例上「信頼関係の破壊」が要件とされるのが通例です。

裁判例では、1匹の小型犬を短期間飼っていただけでは信頼関係の破壊にあたらないと判断されたケースがある一方、大型犬の多頭飼いによって室内に著しい損傷が生じた事案では契約解除が認められた例もあります。

ペットの種類や数、飼育期間、損傷の程度によって判断は分かれるため、弁護士や管理会社と連携しながら慎重に進めるのが現実的な選択です。

違約金や原状回復費はどこまで請求できるのか

無断飼育が判明した際、オーナー様がもっとも気になるのは費用をどこまで回収できるかという点です。

結論からいえば、契約書に違約金や損害賠償に関する条項がきちんと盛り込まれていれば、それを根拠に請求することが可能です。

違約金については、「ペットの無断飼育が発覚した場合、違約金として家賃◯か月分を支払う」といった条項があれば、その金額を直接請求する根拠となります。

実務上は家賃1〜3か月分を違約金として設定する例が多く、猫などの飼育歴が長くなると、原状回復費用と合算して家賃3〜5か月分に達するケースも見られます。

ただし、違約金の額が社会通念上あまりに高額と判断されれば、裁判で減額される可能性もあるため、相場感を意識した設定が現実的です。

原状回復費用に関しては、通常の経年劣化を超える損傷であれば、入居者に負担を求めることができます。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、入居者の故意・過失による損耗は入居者負担と整理されており、爪とぎの傷や排泄物による臭いは、まさにこの「故意・過失」に含まれます。

裁判例としては、東京簡易裁判所 平成14年9月27日判決で、ペット飼育に伴う特別清掃費用を借主負担とする特約の有効性が認められています。

この判決からも読み取れるのは、契約書の整備そのものが請求の成否を大きく左右するということです。

なお、退去後に入居者と連絡が取れなくなるリスクもあるため、退去立会い時には損傷箇所の写真を詳細に残し、状態を双方で確認した記録を書面で残しておくことが、実際の請求では決め手になります。

無断飼育を未然に防ぐための工夫

起きてから対応するよりも、起こさない仕組みを整えるほうがコストも手間も抑えられます。

ここでは予防策として押さえておきたい3つの工夫を紹介します。

1.禁止条項と違約金の明記
2.定期巡回による早期発見
3.ペット可物件への切り替えという選択肢

①禁止条項と違約金の明記

予防の出発点は、やはり契約書の整備です。

ペット飼育を禁止する条項を置くだけでは不十分で、違反した場合にどれだけの違約金が発生するのか、契約解除の可能性はあるのかまで具体的に書き込んでおくことで、初めて実効性のある抑止力になります。

「違約金として家賃2か月分を請求する」「原状回復費用は実費を請求する」といった数字の入った記載があれば、入居者側の意識にも確実に残ります。

加えて、重要事項説明の段階で口頭でも丁寧に補足しておくことで、「契約書は読んでいなかった」「知らなかった」という後日の言い逃れを防ぐことができます。

②定期巡回による早期発見

見落とされがちなのが、定期巡回の仕組みづくりです。

管理会社と連携し、建物の外回りや共用部を定期的にチェックするだけでも、無断飼育の兆候はかなりの確率で拾えます。

共用廊下に落ちた動物の毛、エントランスや集合ポスト周りに漂う臭い、ベランダに置かれたペット用品──表からでも確認できる手がかりは意外なほど豊富です。

小さな兆候のうちに声をかけられれば、軽い注意で収束する可能性が高まります。

関係がこじれる前に手を打つという意味でも、巡回は費用対効果の高い予防策です。

③ペット可物件への切り替えという選択肢

どうしても無断飼育が繰り返される物件であれば、発想を切り替えて「ペット可」に舵を切るのも一つの選択肢です。

ペット可物件は入居希望者の層が広がるため、空室対策としても機能します。

近年のペット飼育世帯の増加を考えれば、需要面での追い風も見込めるでしょう。

ただし、ペット可への切り替えは単に「禁止を外す」ことではありません。

敷金の増額、ペット飼育に関する特約、防音・防臭対策、共用部のルール整備など、事前に整えておくべき要素は多岐にわたります。

既存の入居者への説明も欠かせないため、管理会社と十分に協議しながら、総合的に判断していくことが大切です。

ペットの無断飼育でお悩みの方は久和不動産へ

今回は、ペットの無断飼育が発覚するきっかけや放置によるリスク、発覚時の対応手順、そして未然に防ぐための工夫までを整理してきました。

要点を改めて整理すると、次の3点に集約されます。

  • 無断飼育を放置すると「黙示の承認」や修繕費の増大といったリスクにつながる
  • 発覚時は契約書の確認と書面による是正通知を起点に、段階的に対応する
  • 禁止条項の明記や定期巡回など、起こさないための仕組みづくりが鍵になる

ペットの無断飼育は、早い段階で気づき、適切に対処することで、物件の資産価値と入居環境の両方を守ることにつながります。

久和不動産では、無断飼育への初動対応から契約書・特約の整備、管理体制の見直しまで、幅広くご相談を承っております。

「入居者がペットを飼ってるみたいだけど、どう対応すればいいんだろう…」

「契約書にペットに関する条項を追加したい」

という方は、どうぞお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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